これはお見立てを長年やってきてつくづく思うことです。
私たちは宝石を買うときにお店に行ってショーケースの中にあるジュエリーを指差し、
「これを見せて」と言います。
見せてもらって試してみて、また別のものも試してみる。
でも店員さんがお向かいにいて、数点出したところでちょっとずつ仕舞っていく。
宝石ってなかなか百貨店などでは「一堂に介している」という状態を体験することは難しいのです。
それは仕方のないことですね。
いろいろな方がいらっしゃる店舗では当たり前のことです。
私はその買い方にちょっとストレスを感じていました。
浴びるほど、圧倒的に比較したいという欲があるのです。
だってわからないから。
宝石も服の試着と一緒。実際に肌に乗せなければわからないのです。
それを元にいまの「お見立て」というやり方が定着しました。
まずは浴びるほど宝石を体験していただく。
ケースの中に入っている状態の宝石は、蓋を開けると圧倒的な存在感を放ちます。
エネルギーも大放出。
皆さんから蓋を開けた瞬間「うわ〜」って声が漏れるほどです。
宝石にはパワーがあります。
というかパワーがある宝石しか仕入れてこないから当たり前のことです。
何百という粒の中からより輝いているものを選び出し、またその選ばれた石の中からより輝きとパワーを放つものだけを仕入れています。
だからケースを開けて何かを放つなどというのは当たり前のことなんですね。
そのパワフルな宝石たちには意思があるのです。
ここに行きたい。ここは嫌。
そんな言葉が聞こえてきそうなほど、宝石は輝きとその色で自分の意思を表現するのです。
ある方の手に乗せると光り輝き色も鮮やかになるのに対し、別の方に当ててみると光は消え、色もくすんでしまう。
これはその方がいい悪いではなくて、宝石との相性の問題なのですね。
もちろん、肌の色との関係も大いにあります。
でもそれだけではない。エネルギーだとか波動とか。
言葉では表現が難しいけれどそれは確かに存在するのです。
そうした石の意思を見るにつけ健気だなと思ってしまう。
精一杯何かを訴えかけてくる宝石たち。
おそらく石の状態だけではそれほど発揮できないものなんじゃないかと思います。
人との相性や組み合わせによってその力は最大限に発揮されるのだと、私は信じています。
私たち人間は宝石を選んでいると思いがちですが、きっと石が人を選んでいる。
その意思を理解できたときお客様にお勧めするのですが、お客様が輝かないはずがない・・・って思ってしまうんですよね。
石とともにあるお客様の未来が楽しみで仕方ありません。
そんなわけで石には意思があり、石が人を選んでいる。かもしれないというお話でした。
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